投稿日:2023.8.26
矯正しながら楽器演奏はできるの?
歌や楽器等、音楽活動をしながた矯正をしたいなと考えていらっしゃる方は多いと思います。
「矯正装置を着けて支障はないのか?」ここが一番の不安点ですが、なかなか実体験の声が聞けなく想像しにくいところです・・・。
今回は、私自身の管楽器経験・実体験を交えて「矯正しながら楽器演奏はできるのか?」まとめてみました☺
目次
楽器が原因で歯列が乱れる?!
私は小学生から大学生まで音楽尽くめでした。
小学生時代はブラスバンドでコルネット(トランペットの類)、中学~高校時代は吹奏楽部でフルート、大学は音大に進みフルート専攻で勉学に励んでいました。
たまたま小学、中学、高校と強豪校でしたので色々な経験をさせてもらいましたが、やはり練習量は相当なもので親よりも楽器と向き合う時間のほうが格段と長かったです。
音楽で頑張ろうという方はかなりの時間、楽器に触れていますよね。
長年演奏していると歯列はどんどん変わっていきました。
私の場合は、「昔より凹凸がひどく、楽器を押し付けていた部分は歯列が横一直線」に・・・!!!
前歯部は、歯根が細く動きやすい部位の為、圧が加わると前後左右に動きやすくあります。
マウスピース部分を押し当てて演奏する管楽器であれば歯列が凸凹に、リード楽器であれば出っ歯などになることもあります。
現役であれば矯正治療はお薦めできない?!
矯正治療は、楽器奏者が一番大切にすべき口腔内に異物を入れる為、様々な点で影響が出てきます。
奏法上、歯に負荷がかかりやすい
前述したとおり、前歯部は他の歯に比べ歯根が細く、負荷に弱い歯です。
しかし、金管楽器はマウスピースを唇に強く押し当て、木管楽器であれば唇を丸めてリードをくわえます。
唇越しであれど、それは全く関係なく、押し当てる力は歯に加わります。
歯根は、歯根膜という膜に包まれており、その周りに歯槽骨という骨があります。矯正治療では、歯根膜と歯根を引きはがし歯が動きやすい状態にして行っています。
そこに、楽器演奏による負荷がかかることになる為、本来動かしたい方向に思うように歯が動かなかったり、歯への負担が大きくなったことで痛みが出たり、最悪の場合は「失活」することも考えられます。
※失活とは…なんらかの影響で歯へ栄養が回らなくなり活動しなくなってしまう(しんでしまう)こと
後戻りしやすい
矯正終了後、保定装置を装着して歯を定着させる期間があります。
成人矯正は歯を動かした後、定着するまでにかなりの期間を要し、推奨の保定期間は「矯正治療にかかった期間+半年」程となります。
その期間は歯がまだ不安定な状態の為、強い力がかかると容易に後戻りをしてしまいます。
現役の場合、毎日のように演奏していることを考えると保定期間中に後戻りを起こす可能性は通常の方よりもかなり高いと言えます。
演奏に支障がでる可能性がある
歯面になんらかの装置が着くことにより、アンブシュアの不安定、タンギング困難、口腔内圧迫による音色の変化等が考えられます。
その為、今までの吹き方から変える必要が出てきます。
新しい吹き方が定着するまで、少なくとも1週間はかかると見積ると、演奏会やコンクール等が頻繁にある場合はストレスを強く感じやすいでしょう。
矯正装置をつけるとどうなるのか?
ワイヤー矯正の場合
- ラビアル矯正(表側矯正)
- リンガル矯正(裏側矯正)
ハーフリンガル矯正(上が裏側、下が表側又はその逆)
の3種類があります。
表側矯正の場合、歯の表側に装置がつく為、アンブシュア(楽器を口に当てる位置、形)が大切な管楽器はまず向いてないです。
ハーフリンガル矯正も、上下のどちらかが歯の表側につくので同じ事が言えます。
裏側矯正だとどうでしょう。
歯の裏側に装置がつくので、リップ部分は問題ないかと思います。ですが、裏側に装置がついてしまうと、まずタンギングが普段通りにはいかないでしょう。加えて、息の流れが乱れると音色も変わってしまうリスクがあります。
長期的にみて慣れれば問題ないかもしれませんが、部活動や演奏活動で忙しいという方にはそんな猶予もないのではないでしょうか・・・・
マウスピース矯正の場合
マウスピースの場合、つけ外しが可能です◎
演奏中は外すことができますのでワイヤー矯正に比べると支障は少ないかと思います。
しかし、そんなマウスピース矯正にもリスクはあります。
・1日20時間以上装着
・つけ外しはできるだけ少なく(飲食とる際は外す)
・歯の表面に突起状の装置がつく
・適用となる症例が限られる
上記条件が必須になる為、使用方法を誤ると動きが鈍くなり思うように歯が動かない原因に繋がります。
仮に、練習時間が1日8時間あったとして、食事にあてる時間が1日2時間だったとします。
これだけで10時間削られてしまうのでマウスピースの使用時間が14時間となってしまいます。
また、マウスピース矯正は着脱ができるが故に「継続的に強い力をかける」ということができません。
その為、抜歯を用いた口元改善や重度の凸凹改善等の症例は綺麗に仕上がらない可能性が高く、推奨できません。
どうしても矯正治療と音楽活動を同時進行したい場合は?!
前述したとおり、多かれ少なかれ支障があります。
これは仕方ないことではあります。
歯にとって、患者様にとって、音楽活動にとって、一番支障の出ない矯正治療のタイミングは「2年前後、演奏活動がないタイミング」ですが、現役にとっては難しい話です。
どうしても、矯正治療も同時進行したい場合は、できる限り支障を軽減する為に以下のことを意識してみましょう。
- マウスピース矯正もしくは裏側矯正にする
- 本番までの猶予が3~4か月あるタイミングで矯正をスタートできるように逆算する
- 術者の指示にしっかりと従う
- 歯が痛いと思った時に無理な長時間練習は避ける
上記のことを意識すれば、全くできないということはありません。
ただ、通常の人よりはリスクやストレスが大きくなりますし、できることできないことは個人差がある為、確実に同時進行できるという保証はありません。
実際に矯正をしてみた結果
私は去年の1月よりマウスピース矯正を開始しました!
去年の春にコンクールを控えたうえでの矯正でしたが、受け口改善の為に、アタッチメントの他にゴムかけ用のボタンも左右の下の八重歯と、上の奥歯についてしまいました・・・。
良い実験台です(笑)
結果、アタッチメントもボタンもそこまで厚みがないので影響がなく、マウスピースを外せば問題なく練習することができ、コンクールも入賞することができたのです!!
個人差はありますので一概には言えませんが、音楽活動に大きく影響することはない装置だということが実証されたかと思います。
ですが、マウスピースの使用時間は短くなってしまったので、動かないまま終わってしまった部分もあります・・・。
矯正をとるのか、音楽活動をとるのか、優先順位を決めてから矯正を考えると良いかもしれません☺
最近、当院にも学生さんや、フリーランスの方でカウンセリングにいらっしゃる方が増えてきています。
私自身、TC(トリートメントコーディネーター)という資格を取り、専門的な知識をふまえたうえでより患者様に寄り添えるよう日々精進しております。
楽器をやりながら矯正をお考えの方もそうでない方も、きっとお力になれるかと思いますので、悩んでいる方は是非、カウンセリングにいらっしゃってみてください!
また、通院中の方で何かお悩みがあればいつでもご相談にのりますのでお声がけください^^
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