投稿日:2024.12.14
歯根吸収とは?原因や仕組みを解説
皆さんこんにちは、池袋駅前歯科・矯正歯科です。
突然ですが、「歯根吸収」という言葉をご存知でしょうか? 歯根吸収とは、その名の通り、歯の根っこが溶けてしまう状態を指します。
むし歯と違い、自覚症状が出にくいため、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。放置すると、歯が抜け落ちてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
今回は、歯根吸収の原因や仕組み、治療法、予防法まで詳しく解説していきます。
目次
歯の構造と歯根吸収が起こる仕組み
歯根吸収について詳しく知る前に、まずは歯の構造について確認しておきましょう。
歯は大きく分けて、歯冠部、歯頸部、歯根部の3つの部分で構成されています。
歯冠部(しかんぶ):歯のみえている部分
歯ぐきから出ている部分で、エナメル質という硬い組織で覆われています。私たちが普段「歯」と呼んでいる部分は、この歯冠部になります。
歯頸部(しけいぶ):歯と歯ぐきの境目の部分
歯ぐきと接している部分、歯ぐきのキワの部分になります。磨き残しが出やすい箇所でもあります。
歯根部 (しこんぶ):歯の根っこの部分
歯ぐきの中に埋まっている部分で、歯槽骨と呼ばれる骨の中にしっかりと固定されています。セメント質という組織で覆われており、歯を支える役割を担っています。
歯根吸収は、この歯根部の表面を覆っているセメント質や、その内側にある象牙質が、様々な原因によって溶けてしまう現象を指すのです。
歯根吸収の原因は?
歯根吸収は、一体なぜ起こってしまうのでしょうか? 実は、歯根吸収の原因は多岐にわたり、大きく分けて3つの要因が考えられます。
1. 生理的要因による歯根吸収
これは、乳歯が永久歯に生え変わる際に起こる、自然な歯根吸収です。永久歯が生えてくる際、乳歯の歯根部分は吸収され、やがて抜け落ちます。これは、人体における正常な反応です。
2. 病的な要因による歯根吸収
様々な病気や口腔内の異常によって引き起こされる歯根吸収です。具体的には、以下のような原因が挙げられます。
・歯周病
歯周病菌が歯ぐきに炎症を起こし、進行すると歯根を支える骨(歯槽骨)を溶かしてしまいます。結果として、歯がぐらついたり、歯根吸収を引き起こす可能性があります。
・根尖性歯周炎
虫歯を放置したり、神経の治療が不適切な場合、歯の根の先端に炎症が起こることがあります。この炎症が歯根吸収を引き起こすことがあります。
・矯正治療
歯列矯正によって歯に過度な力が加わると、歯根吸収が起こることがあります。
・嚢胞
歯根の周囲にできる「嚢胞(のうほう)」と呼ばれる袋状の病変が、歯根を圧迫し、吸収を引き起こすことがあります。
・腫瘍
まれに、歯根部に腫瘍ができることで、歯根が吸収されることがあります。
3. 外傷による歯根吸収
事故やスポーツなどによる強い衝撃や長期間にわたる歯ぎしり、食いしばりなどによって歯根に負担がかかり続けると、歯根吸収が起こることがあります。
歯根吸収の症状と見分け方
歯根吸収は、初期段階では自覚症状が出にくいことが多く、痛みもほとんどありません。そのため、気づかないうちに進行してしまうケースも少なくありません。
しかし、進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
* 歯がグラグラする
* 歯茎が腫れる
* 歯の色が変色する
* 歯が伸びてきたように感じる
* 噛むと痛みを感じる
歯根吸収を予防するために
歯根吸収は、一度起こってしまうと、自然に治癒することはありません。そのため、日頃からの予防が重要となります。
・毎日の歯磨きを徹底する
歯周病や虫歯予防のため、毎食後、歯ブラシとデンタルフロスを使って、丁寧に歯を磨き、口腔内を清潔に保ちましょう。
・定期的な歯科検診を受ける
自覚症状がなくても、定期的に歯科医院を受診し、歯や歯ぐきのチェックを受けるようにしましょう。早期発見・早期治療に繋がります。
・歯ぎしり、食いしばりを改善する
歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合は、マウスピースを装着するなどして、歯にかかる負担を軽減しましょう。
・バランスの取れた食生活を心がける
栄養バランスの取れた食事を摂ることで、歯や歯ぐきを健康な状態に保ちましょう。
歯列矯正と歯根吸収の関係性
歯列矯正は歯並びや噛み合わせを改善する素晴らしい治療法ですが、歯根吸収のリスクと隣り合わせであることを理解しておきましょう。
矯正治療では、歯を動かすために、持続的に弱い力を歯に加え続けます。この力が強すぎたり、歯への負担が大きすぎたりすると、歯根吸収が起こるのです。
特に、以下のようなケースでは、歯根吸収のリスクが高まるとされています。
● 歯の移動距離が大きい場合
歯を大きく移動させる場合は、歯根への負担が大きくなり、歯根吸収のリスクも高まります。
● 治療期間が長引く場合
治療期間が長引けば長引くほど、歯根に負担がかかり続けるため、歯根吸収のリスクが高まります。
● 歯根がもともと短い、または細い場合
歯根が短い、または細い人は、歯根吸収のリスクが高いと言われています。
● 歯周病にかかっている場合
歯周病によって、歯を支える骨が溶けている場合は、歯根吸収のリスクが高まります。
● 過去に歯根吸収を起こしたことがある場合
過去に歯根吸収を起こしたことがある人は、再び歯根吸収を起こすリスクが高いと言われています。
歯列矯正中の歯根吸収を防ぐために
歯列矯正中の歯根吸収を防ぐためには、患者さま自身が行えることと、矯正歯科医側の配慮の両方が重要となります。
患者さま自身ができること
① 歯磨きを徹底する
歯周病予防は、歯根吸収のリスクを減らすためにも重要です。毎食後、丁寧に歯を磨き、歯ぐきを清潔に保つようにしましょう。
② 定期的な検診を受ける
矯正治療中は、定期的に歯科医院を受診し、歯や歯ぐきの状態をチェックしてもらいましょう。
③ 矯正装置の適切な使用
矯正装置は、歯科医師の指示通りに正しく使用しましょう。自己判断で装置を調整したり、取り外したりすることは大変危険です。
④ 食生活に気を配る
歯や歯ぐきに良い影響を与える、バランスの取れた食事を心がけましょう。硬い食べ物は、歯根吸収のリスクを高める可能性がありますので、注意が必要です。
矯正歯科医側の配慮
① 精密な検査と診断
矯正治療を開始する前に、CT撮影などを用いて、歯根の状態や周りの骨の状態を正確に把握することが重要です。
② 適切な治療計画
患者さまの歯の状態やリスクを考慮し、無理のない治療計画を立てる必要があります。
③ 丁寧な治療
歯を動かす力は、可能な限り弱く、ゆっくりと加えることが大切です。
④ 定期的なチェックとメンテナンス
矯正治療中は、定期的に歯根吸収の有無を確認し、必要に応じて治療計画の見直しを行います。
歯列矯正における歯根吸収への対策
近年では、歯根吸収のリスクを最小限に抑えるため、様々な技術が進んでいます。
● 低摩擦ブラケット
従来のブラケットよりも摩擦抵抗が少なく、歯に優しい力で歯を動かすことができます。
● コンピューターシミュレーション
コンピューター上で歯の動きをシミュレーションすることで、より正確で安全な治療計画を立てることができます。
● 3Dプリンター
患者さまの歯型に合わせた、オーダーメイドの矯正装置を作製することができるため、歯根への負担を軽減できます。
まとめ
歯根吸収は、自覚症状が出にくいため、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。放置すると、歯を失ってしまうことにもなりかねません。日頃から、歯磨きや定期的な歯科検診を心がけ、歯根吸収を予防しましょう。万が一、歯根吸収の症状に気づいたら、早めに歯科医院を受診することが大切です。
また、歯列矯正は多くの場合、健康な歯を対象に行われる治療です。歯の移動には、少なからず力を加えます。歯を動かす力によって、歯根吸収のリスクがあることを事前に理解しておくと良いですね。
信頼できる矯正歯科医のもとで、適切な治療を受けることにより、歯根吸収のリスクを最小限に抑えながら、美しい歯並びと健康的な噛み合わせを手に入れましょう。
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