投稿日:2023.3.13
出っ歯は健康にも影響を及ぼすって本当?
「出っ歯を放置すると全身の健康にも悪いの?」と気になっていませんか?
結論からお伝えすると、出っ歯に限らず歯並びや噛み合わせの崩れを放置するのは、全身の健康に悪影響を及ぼすためおすすめできません。現在問題なく使えていると感じていても少しずつ影響していくものであり、分かりやすいトラブルや症状が現れたときには重症化している可能性もあるため注意が必要です。
こちらのページでは、出っ歯の特徴や原因、全身に及ぼす影響、適切な治療法などについてわかりやすくまとめました。出っ歯でお困りの方はぜひご参考ください。
目次
歯並びの崩れは全身の健康に影響する
歯並びの崩れはお口の環境が悪くなる原因であり、その結果全身の影響にも影響を及ぼす可能性があります。歯並びや噛み合わせを整えることは全身の健康を守ることにつながりますので、気になっている方は早めに歯科医院へ相談し、必要であれば矯正治療をご検討ください。適切な治療法は、出っ歯の原因や状態によって異なります。
出っ歯の特徴や原因について
出っ歯のことを専門用語では「上顎前突」といいます。上顎の前歯が歯列よりも前方に出ている状態、もしくは上顎全体が前方に出ている状態を指し、原因が「歯」と「骨格」のどちらにあるのかは精密検査をしてみないと分かりません。
精密検査はカウンセリングの次の段階で行いますが、強制ではないのでご安心ください。ただし、精密検査をせずに治療を進めることはできず、適切な治療法や費用、治療期間の詳細の提示も検査後となります。
原因別に要因を以下でくわしくみていきましょう。
上顎の前歯が歯列よりも前方に出ているケース
歯に原因がみられるケースで、幼い頃の癖が大きく関係しています。長期にわたる指しゃぶりや舌を前に押し出す癖、下唇を噛む癖などがあると出っ歯になりやすいので早めの改善がおすすめです。
歯列から前歯がズレているだけであれば矯正治療で改善ができ、程度によっては部分矯正が適用されます。
上顎全体が前方に出ているケース
骨格に原因がみられるケースで、遺伝または顎骨の成長不足などが考えられます。矯正治療のみでの改善が難しいことがあり、その場合は追加で外科手術が必要です。
歯に原因がみられるケースよりも治療期間が長く、トータルの費用も高くなる傾向にあるので、契約時に慌てないよう覚えておきましょう。
出っ歯を放置することで全身にどんな悪影響がある?
歯並びや噛み合わせの崩れを放置することで起こり得るトラブルは以下のとおりです。
虫歯や歯周病のリスク増加
前歯が歯列からズレていることで、歯ブラシの毛先が歯面にあたりにくくなります。とくに側面の磨き残しがおこりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高いため注意しなくてはいけません。たとえズレが一箇所しかなくても全体の環境の悪化につながります。また、口臭も強くなりがちです。口臭は自覚しにくいトラブルであり、無意識に周囲に迷惑をかけているケースも少なくありません。
歯周病の重症化は全身疾患を引き起こしやすい
歯周病の原因菌が血流にのって全身に回ると、脳卒中や心疾患、糖尿病、アルツハイマー型認知症、関節リウマチ、誤嚥性肺炎、早産、低体重児出産などのリスクが増加します。命を落とす危険性もあるため、重症化する前の治療や予防を心がけましょう。
首や肩の痛み・コリ
歯並びの崩れは噛み合わせのズレにもつながっており、全体でバランスよく噛めない状態が続くと口周りだけでなく首や肩の筋肉にも余計な負担がかかります。痛みやコリが発生すると、それを補うためにさらにつながりのある背中や腰にも影響するため注意が必要です。
姿勢の崩れ
噛み合わせのズレによって口周り以外の筋肉に影響がでると、徐々に姿勢も悪くなっていきます。出っ歯が原因で口元がコンプレックスになり、人前で俯きがちという方も少なくありません。猫背が癖になってしまうと胃や腸にも悪い影響を与えます。
口呼吸による風邪のリスク増加
外気がダイレクトに喉に届くため、鼻呼吸の方にくらべて風邪をひきやすい傾向にあります。口呼吸は出っ歯が悪化する原因の一つです。お口のなかが乾燥することで歯の表面に汚れもつきやすくなるので注意しましょう。鼻呼吸の方にくらべて虫歯や歯周病、口臭のリスクは高めです。
出っ歯は矯正治療で治せる!最適な治療法は?
「歯」に原因がある場合は矯正治療での改善が可能です。程度によっても適切な治療法は異なるため、それぞれの特徴やメリット・デメリットは事前に把握しておくことをおすすめします。
ワイヤー矯正
歯の表側にブラケットとよばれる装置とワイヤーをつけて歯を動かす方法です。固定式の装置を使用するため審美性に欠けますが、歯を1本1本細かく動かせるので治療がスムーズに進みやすく、難症例にも対応できます。
重度の出っ歯だと装置の厚み分唇が盛り上がる可能性があるので注意しましょう。
裏側矯正(舌側矯正)
ワイヤー矯正の一種で、歯の裏側に装置をつける方法です。
固定式で一般的なワイヤー矯正(表側矯正)のように装置が目立つことがなく、ワイヤー矯正の強みを活かせられます。唇が盛り上がる心配もありません。
表側矯正にくらべて費用が高く設定されていることが多く、舌が装置にあたるため滑舌や発音に支障をきたしやすい傾向にあります。
ハーフリンガル矯正
上顎を裏側矯正(舌側矯正)で、下顎を表側矯正で行う方法です。笑ったときに見えやすい上顎を裏側矯正にすることで、審美性を低下させずに歯並びを整えられます。唇が盛り上がる心配はありません。
下顎は表側矯正で行うため滑舌や発音が変化しにくく、上下裏側矯正(舌側矯正)で行うよりも費用を安く抑えられます。
マウスピース型矯正
マウスピース型の装置を歯列に被せて歯を動かす方法です。透明で取り外し式の装置を使用するため審美性が高く、食事やお手入れが今までどおり行えます。
しかし、抜歯を伴う矯正治療には不向きですので、非抜歯治療のみとなります。
出っ歯の処置は抜歯を伴う矯正治療である場合がほとんどなので、ワイヤー矯正で検討することをお勧めします。
出っ歯は自力で治せるの?
一度崩れた歯並びや噛み合わせは、自力で治すことはできません。指などを使って無理に歯に力をかけると痛みを伴うだけでなく、歯のグラつきがおこったり歯根が短くなったりすることもあるためやらないようにしましょう。
骨格が原因の場合は、小児矯正での対処が可能です。専用の装置を使って顎骨の大きさや形を調整できます。ただし、6~12歳ごろまでと対象年齢が決まっており、永久歯が生えそろうと顎骨の成長も止まるので、装置を使っても大きさや形を調整できません。調整には外科手術が必要になる場合があります。
市販のマウスピースを使っても歯並びに適していなければ悪化する可能性があるため、きれいな見た目に仕上げたい方は歯科医院での矯正治療をご検討ください。
矯正治療で出っ歯を治して全身の健康に役立てよう
出っ歯は審美性だけでなく、お口や全身の健康にも悪影響を及ぼします。虫歯や歯周病をはじめ、首や肩の痛み・コリ、姿勢の崩れ、口呼吸による風邪のリスク増加などが一般的ですが、前歯が噛み合わないことでほかの部位に負担がかかりすぎるとヒビや破折、顎関節症のリスクも上がるため注意が必要です。とくに顎関節症は、矯正治療だけでなく普段の食事やお手入れなども難しくなる傾向にあるため、精神的にも大きな負担がかかります。一度発症すると治療が長引きやすいことから、発症する前の対策・予防が欠かせないといえるでしょう。
軽度の出っ歯であれば部分矯正で対応できる場合もありますので、当てはまる方は早めに歯科医院へご連絡ください。出っ歯を治して全身の健康に役立てましょう。