投稿日:2022.3.1
舌癖が矯正治療の天敵って本当?!
こんにちは、池袋駅前歯科・矯正歯科です。
突然ですが、皆さんは「舌癖(ぜつへき)」という言葉を聞いたことはありますか?
聞きなじみのない言葉かとは思いますが、矯正を進めていく上でとても大切になってきます。
矯正のスピードも、後戻りのリスクにもかかわってきますので、矯正を考えている方は是非読んでみてください。
目次
舌癖とは
日常生活の中で、無意識に上下の歯の間から舌がでていたり、
舌で歯を押しているような動きをする事を指します。
舌癖が原因で出っ歯になったり、開口(上下の歯と歯の間に隙間があくこと)になり、
前歯が噛み合わない歯並びになる可能性があります。
そのため、発音にも大きく影響してしまいます。
また、矯正治療中も舌癖が原因で期間が延びてしまったり、せっかく並んでも矯正終了後に後戻りをしてしまう。そして最悪、無理な力がかかってしまうことで失活するリスクが高まってしまう場合もあります。
舌癖の原因
指しゃぶり
乳児期(赤ちゃん)頃の指しゃぶりは正直に言って問題ありません。
ですが、幼少期(4~5歳)になっても指しゃぶりの癖がある場合は
指しゃぶりの癖を治しておいた方がいいかもしれません。
お子様が近くにいる方は、チェックしてみてくださいね。
なぜなら、幼少期は骨が成長段階にある為柔らかく不安定です。
指を吸うことで上下の歯の間にスペースができる開咬になってしまったり、
指を吸っていると、その指に沿って上顎の前歯が傾いて、出っ歯(上顎前突)に
なりやすくなってしまいます。
鼻の病気(アレルギーなど)で口呼吸になっている
アレルギーなどの慢性的な鼻詰まりがあったりすると、
口呼吸になってしまう場合があります。
口呼吸ですと、舌が正しい位置におけず、舌が下がってしまいます。
下がったまま生活していると嚥下時(飲食物を飲み込む時)などに舌を前に押し出す癖がついてしまう場合があります。
また、口呼吸になっていると、口輪筋などが弱くなってしまい、自然とお口が空いてしまいます。
そうなると口腔内が乾燥しやすくなり唾液の量が減ってしまうので、
虫歯や、歯周病になるリスクが高まります。
その様な口腔内になると、口臭なども出てきてしまいます。
舌小帯が短い
舌の裏にある糸みたいなものを舌小帯と言います。
この舌小帯が短い症状のことを「舌小帯短縮症」といい、舌の動く範囲が抑制され、舌を挙上することができず舌癖となってしまうケースがあります。
また、発音障害を併発する可能性もあります。
舌小帯短縮症の特徴としては、舌を出した時に舌先がハート型に割れます。
この場合、幼少期から機能訓練をするか、舌小帯の切除といった対処法があります。
舌の正しい位置
皆さんは普段テレビや本を読んだりしている時、舌の位置はどこにありますか?
舌をおく位置に正解や不正解があるのかと思った方も多いのではないでしょうか。
カウンセリングを行っていても、舌を置く位置がどこかわからない方もたくさんいらっしゃいます。
舌を置く正しい位置はあります!
その名も「スポット」!
スポットの場所は写真の丸印のところです。上顎の前歯の後ろ、付け根あたりをさします。
舌は筋肉の塊であり力が強い為、普段から舌の位置が前歯に触れていたりすると、出っ歯や開口になってしまうことがあります。
これは大人になってからも考えられることなので、このスポットという位置に舌尖を置き、その状態をキープしたまま奥歯を軽く噛み、唇を閉じるように意識してみて下さい。
矯正治療においての舌癖リスク
今回の本題です。
舌癖は、矯正治療においてどのようなリスクがあるのか、まとめてみました。
矯正期間が延びる
矯正治療中は、歯とその周りの組織が分離した状態で、歯がとても動きやすい状態になっています。そこに矯正の力をかけて動かしていくわけですが、前述したように舌は筋肉の塊です。
舌を歯に押し当てる癖を改善しない場合、どれだけ矯正の力で動かしても舌の圧で抑制・後戻りを起こしてしまい、なかなか矯正治療が終われないというケースがあります。
失活してしまう
失活とは、なんらかの原因で歯に栄養がいかなくなってしまい、歯が死んでしまうことを指します。
舌癖関連でいうと、歯が立つ為の歯槽骨が薄い場合に、舌で歯を押してしまうことで歯が骨から抜け出てしまい失活するというケースがあります。
歯根吸収が強く起こる
歯根吸収とは、歯根が強い衝撃を受けたときに、歯根の先が溶けて周囲に吸収されるというものです。
「小学生の時に鉄棒から落ちて前歯を強くぶつけた」
という経験はありませんか?このような事例でも歯根吸収は起こります。
矯正治療の場合にも、矯正の力によって歯根吸収は少なからず起こりますが、+αで舌癖の力が加わると、より強く歯根吸収の症状が出てしまう可能性があります。
矯正終了後に後戻りをしてしまう
矯正治療終了後は保定装置を歯が安定するまで(最低2年半ほど)は使用頂きます。
安定するまでは、丸一日付けわすれてしまっただけでも人によっては後戻りを感じるくらい、歯が動きやすくあります。
もし、ここに舌癖の力が加われば想像に難くないと思い。
想像どおりで、歯が凸凹になったり、口ゴボのように上下の前歯が前突気味に広がってしまったりします。
【舌の正しい位置に関する記事はこちら】
2022/12/17『舌の正しい位置があるって知ってる?』
舌癖がある方の矯正症例
最後に、裏側のワイヤー矯正の方の症例をご紹介いたします。
この方の気になっているところ
⇒前歯の咬み合わせが浅い、前歯のがたつき
上下の歯と歯の間に隙間があります。
無意識に舌を前歯に突き当ててしまう癖があるようです。
年齢:20代前半/女性
装置:上下全体裏側矯正
治療期間:1年半(通院回数:33回)
保定期間:2年
【初診】裏側矯正を全体で治療した患者様でお悩みは上記のようなことでした。
会話時に舌を前歯へ押し当てる癖があるようで、お話をされると隙間から
舌がはっきりと見える状態でした。
【途中経過】前歯部にゴムかけの装置をつけ、三角形になるよう顎間ゴムを併用していきます。
【治療終了】前歯部の咬み合わせも改善され、上下の前歯の隙間もなくなりました!
矯正で改善しても舌癖があると後戻りする可能性があるので日常生活の舌の位置や、
MFTといって口腔周囲筋の機能を改善する訓練もすると効果的です。
気になる方は歯科医師・歯科衛生士にご相談下さい。
【MFTトレーニングの関連記事はこちら】
2023/03/11『MFTトレーニングとは?舌は鍛えたほうがいい!?』
2022/12/17『舌の正しい位置があるって知ってる?』
この症例を見て、矯正に興味がわいた!自分も同じような歯並びで治療してみたくなった、
という方は、カウンセリングを行っているので、是非一度当院にお越しくださいませ。
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普段、舌の位置を意識して生活することは
ほとんどないことが多いのかなと思います。
カウンセリングをしていてもどこが正解とわかっていて、
それができている人は少ないです。
私自身もそれができているかと言われると怪しいです(笑)
ですが舌は随意筋なので、自分の意識で動かすことができる筋肉なので、身体を鍛えるように舌も一緒に鍛えていってほしいです。
気が付いたら治す、これの期間が短くなればなるほど
舌の位置安定してきます
ですので、このお話をここまで読まれた方は、正しい舌の位置を頭の片隅に置いておいてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
皆様体調に気をつけてお過ごし下さい☆