投稿日:2024.11.20
抜歯しない歯列矯正はあるの?
歯を抜きたくないから歯列矯正を躊躇っている方は多いのではないでしょうか。
「矯正治療をする際に歯を抜く必要がある?」
「抜歯をしない矯正はある?」
皆様、いろんな疑問があると思います。
歯列矯正治療では、歯を並ばせるスペースが不足している場合、スペースを確保するために健康な歯を抜くことがあります。
この方法は「抜歯矯正」と呼ばれています。
また歯を抜かずに矯正する方法を「非抜歯矯正」と言い、歯を動かすための隙間を様々な方法で確保します。
健康な歯を抜くことに抵抗を感じる方も多いと思います。
歯を抜かない矯正は、歯並びのデコボコが軽度の方、元々歯と歯の間に隙間があるいわゆるすきっ歯の方が対象です。
目次
歯を抜く場合
抜歯は顎の骨に生えている歯を抜くということになるので外科処置になります。
歯を抜くときにはそのまま処置をするともちろん痛みがあるので局所麻酔をする必要があります。
基礎疾患があったり、薬を服用している方は場合によっては局所麻酔や観血処置ができないことがあるので注意が必要です。
抜歯が必要な場合はかかりつけの医師に相談してください。
また基礎疾患もなく、薬を服用されてない方も抜歯をする日の体調によってご気分が悪くなったり、血圧が低下する可能性があります。
抜歯の不安や恐怖からくるストレスから体調不良を引き起こすこともあります。
抜歯の前日は十分に睡眠をとり、万全の体調で施術を受ける必要があります。
抜歯後の注意事項も以下の通りです。
- 麻酔が切れるまでは感覚がないので唇や舌を噛まないように注意
- 抜歯当日は血流が良くなる行動(長風呂、サウナ、運動、飲酒)は避ける
- 舌や指で傷口を触らないようにする
- 強いうがいはドライソケット(傷口がふさがらず、骨がむき出しのまま)の原因になるので注意
- 処方された薬は正しく服用する
歯列矯正では主に前歯から数えて4番目か5番目の小臼歯と呼ばれる歯を抜くことが多いです。
歯を抜かない矯正のメリット
健康な歯を残せる
抜歯矯正では、歯の並びを整えるスペースを作るために、歯を抜くことがあります。
しかし、「健康な歯であれば抜きたくない」と考える方は多いです。
歯を抜かない矯正であれば、歯を1本も抜くことなく歯並びを整えられます。
口元の変化が少ない
抜歯矯正では、歯を抜いたスペースを閉じるために歯を大きく動かす必要があります。
それにより、口元が大きく変化してしまうことがあります。
しかし、歯を抜かない矯正なら、歯を大きく動かす必要がないため、口元の大きな変化を気にせずに進められます。
ですが、患者さまの口腔内によっては口元が変わることがメリットになる場合もあります。
治療期間が短くなる場合がある
歯を抜くスペースを作る必要がないということは、そのスペースをなくすまでにかかる期間がないということです。
そのため抜歯矯正に比べて治療期間が短くなる場合があります。
歯並びの状態や治療方法によって個人差はあります。
少しでも早く歯並びを整えたいという方にとってはメリットと言えるでしょう。
身体的・精神的負担が少ない
抜歯は、個人差はあるもののどうしても術後に痛みや腫れのリスクがあります。
さらに“健康な歯を失う”という不安やストレスなどの精神的な負担もあります。
歯を抜かない矯正なら、抜歯により起こりうる負担は軽減されます。
歯を抜かない矯正のデメリット
メリットがある一方で、デメリットも理解しておく必要があります。
噛み合わせが悪くなる可能性がある
非抜歯矯正では、歯を動かすために無理に並べようとした結果、本来理想的な位置に歯が並ばないことがあります。
そうすると噛み合わせが悪くなる可能性があります。
後戻りするリスクがある
歯列矯正後は抜歯、非抜歯ともに歯が元の位置に戻ろうとする力が働き、後戻りのリスクがあります。
ですが、非抜歯矯正の場合、隙間がなく無理矢理歯並びを整えると歯と歯の間がきつくなってしまい、後戻りのリスクが高まる可能性があります。
矯正後は保定装置(リテーナー)をきちんと装着することが大切です。
適応症例が限られる
重度の歯並びの凹凸が見られる場合や骨格的に問題がある場合、歯を抜かない矯正は対応できないことがあります。
抜歯せずに歯を並べる方法
歯を抜かない矯正でも、さまざまな方法で歯を動かすために必要な隙間を確保します。
歯科矯正用アンカースクリュー
顎の骨に小さなネジを埋め込むことで、歯を動かす際の支えとして使う方法です。
このネジのことをアンカースクリューと呼びます。
ケースによってアンカースクリューを埋入する場所は変わりますが、アンカースクリューを使って奥歯を後ろに下げることができます。
カリエール
カリエールという装置を歯に着け、患者さんご自身で口腔内でゴムかけをすることによって歯を後ろに動かす方法です。
IPR
IPRとは歯と歯の間をほんの少しだけ削ることで、歯を動かすためのわずかな隙間を確保するものです。
歯を削るというと驚かれるかもしれませんが、わかりやすくいうと歯と歯の間にやすりがけをします。
↑このような機械を使います
↑歯と歯の間にやすりをのこぎりのように動かし、入れていきます
歯を削ったら冷たいもので染みないの?と思われるかもしれません。
たくさん削ってしまえば染みる原因となりますが、その削る量が大切になってきます。
まず歯が染みるメカニズムとしては“象牙質”と呼ばれる場所から神経に刺激が伝わると染みると感じます。
通常であればこの象牙質は“エナメル質”に覆われているので神経に刺激が伝わることはありません。
エナメル質の厚みは平均2~3㎜程度と言われています。
なので、IPRで0.1mm削ったとしても、象牙質に到達することはないのでご安心ください。
歯を削る量や箇所も治療計画を立てた上で必要だと判断した最低限の箇所のみです。
これらの方法を組み合わせて進めていくのが一般的です。
歯を抜かない歯列矯正で使用する装置
歯を抜かない矯正では、以下の装置が使われます。
マウスピース矯正(インビザラインなど)
透明なマウスピースを歯に装着することで、歯並びをきれいにしていく方法です。
薄くて透明なマウスピースなので、装着していてもほとんど目立ちません。
さらに、食事や歯磨きの時には取り外せるのが大きな特徴です。
ワイヤーとは違い食事のしづらさ、清掃不良が少ないです。
着脱ができることがメリットではありますが、きちんとマウスピースを使用しないと歯が動かないので注意が必要です。
ワイヤー矯正
歯にブラケットという装置を付けて、そこにワイヤーを通して歯を動かす方法です。
装置やワイヤーが常に着いているので慣れるまでは違和感があります。
ご自身で調整する必要はないのがメリットです。
歯を効率よく動かすことができるため、歯並びの様々なケースにも対応できます。
当院では表側矯正や裏側矯正、上顎は裏側・下顎は表側のハーフリンガル矯正を取り扱っています。
まとめ
抜歯をしない歯列矯正の方法をご紹介しました。
歯は抜きたくないけど歯列矯正はしたい!という方の参考になれば幸いです。
歯並びの状態によっては抜歯を行った方がきれいな仕上がりができる場合もあります。
抜歯が必要か、非抜歯で歯列矯正ができるかは精密検査が必要になります。
当院では無料カウンセリングを行っています。
ご不明な点があればカウンセリングで詳しくお話いたします。
こちらからご予約可能です♪