投稿日:2023.3.28
ガミースマイルは遺伝するの?
笑ったときに歯ぐきが大きく露出してしまうガミースマイル。
最近はガミースマイルの有名人も多いことから、名前や症状をご存じの方も増えてきました。
年々、ガミースマイルに対する相談が増加傾向にあり、多くの方々がコンプレックスを抱く要素として知られつつあるのが現状です。
さまざまな原因が予想されるなかで、なかでも不安視されているのがガミースマイルが遺伝するかどうかでしょう。
もし、お子さんに受け継がれてしまうと思うと不安になる方もきっと多いはずです。
今回はガミースマイルが果たして親から子へ遺伝するかについて深堀りしていくとともに、完全に治すためにはどうすればいいか詳しく説明したいと思います。
目次
ガミースマイルの特徴
ガミースマイルは笑った際に上唇がめくれると同時に、歯ぐきが3㎜以上も露わになってしまう状態を指します。
こうしたガミースマイルの大きな症状は目立つ歯ぐきのほかに、以下のような特徴を併せもつことが多いです。
歯が短く位置が低い
ガミースマイルの方の口元を見ると、歯が短く、さらに位置がやや低めなことに気づくでしょう。
この状態こそ、ガミースマイルの方に多い特徴だといえます。
歯が短いとそのぶん歯ぐきが見える度合いが大きくなってしまい、より際立ちやすくなるのです。
上唇がうすい
ガミースマイルの方の唇を見ると、比較的うすめの方が多い傾向にあります。
これは笑った際に上唇が内側に入り込むようになることから、唇が線状に見えてしまうからです。
通常、口を開いた状態でも上唇に隠れる形で歯ぐきは見えませんが、唇がうすい方は隠せるほどの厚みがないことからガミースマイルになってしまいます。
上顎骨の過剰発達
上あごの骨が過剰に発達することで、歯ぐきが長くなりやすいといわれています。
実はアジア人にはこうした骨格的特徴をもつ人が多く、私たちの骨格はガミースマイルを引き起こしやすい遺伝子を最初からもっているということになります。
もし口元の骨が前へ出っ張っているという方は、骨格的異常の可能性があるかもしれません。
ガミースマイルは遺伝するかしないか
みなさんにとって最も気になることは、ガミースマイルが果たして遺伝するのかわからないことだと思います。
結論をいうと、遺伝的要素が強い傾向にあるでしょう。
両親どちらかの口元がガミースマイルである場合は、お子さんに受け継がれる可能性があるといわれています。
さきほど特徴について述べた際、骨格の過剰発達を挙げました。
骨格的な問題が原因で起こるガミースマイルは、遺伝が原因と考えられるでしょう。
というのも、両親からは骨格の形や歯ぐきの形が受け継がれる傾向にあるといわれているからです。
ですが、親がガミースマイルだとしてもかならず遺伝するというわけではありません。
遺伝だけが原因ではなく、ほかにもあらゆる可能性が考えられます。
骨格異常以外でガミースマイルになる原因はあるの?
遺伝の場合、骨格に問題があることでガミースマイルを引き起こしてしまいますが、ほかに考えられる原因はどんな内容なのでしょうか?
いくつか挙げてみましたので、当てはまるかチェックしてみましょう。
歯並びの乱れ
骨格的な問題以外にも歯並びの乱れがあると、ガミースマイルになりやすいといわれています。
たとえば出っ歯のように前歯が突出した状態の場合、笑った拍子に上唇が押し上げられる状態となり、症状が出てしまうのです。
また、ディープバイト(過蓋咬合)といって上下を噛み合わせたときに下の歯が上の歯に隠れて見えないくらい深い噛み合わせの場合もガミースマイルが出やすいでしょう。
このように、歯並びの乱れが原因でガミースマイルが出現するケースは非常に多い傾向にあります。
上唇筋肉の発達
上唇挙筋の発達により唇が通常よりも持ち上がることで、歯ぐきが露出されて引き起こされるケースもあります。
この場合、若いときは筋肉の発達があるせいで歯ぐきの露出が目立っていたのに、老化による筋肉の衰えから唇の筋肉が弱まり歯ぐきが目立たなくなる…という可能性も考えられるといいます。
ガミースマイルを引き起こす原因はいくつか考えられますが、あらゆる原因が複合的に重なる場合が多いです。
骨格的な問題+歯並びの乱れからなることも十分に考えられることから、ご自身で判断せず、専門の歯科医院で相談してみることをおすすめします。
ガミースマイルを放置するとどんなリスクがあるの?
ガミースマイルの症状を放置することで、何かリスクはあるのでしょうか?
「見た目が目立つだけで、特に困らないのでは…?」と思われる方も多いと思いますが、実は放置することは大変危険です。
むし歯や歯周病リスクが向上
ガミースマイルの状態を放置するうえで危険視されているのが、むし歯や歯周病のリスクです。
歯ぐきの大半が露出してしまうことで、口のなかが乾燥しやすくなります。
また、ガミースマイルの方の多くは口が閉じにくく口呼吸になる傾向にあり、さらに乾燥しやすい状態になりやすいです。
口のなかが乾燥してしまうと、細菌が繁殖しやすくなります。
むし歯や歯周病菌が繁殖してしまえば、病気の進行度を上げてしまいかねません。
口臭を引き起こしてしまう
口のなかが乾燥した状態が続くと、口臭まで引き起こす可能性が高くなるでしょう。
むし歯や歯周病が進行すると口のなかの衛生状態は、さらに悪化してしまいます。
すると、自分の知らないところで口臭が発生し、周りを不快にさせてしまうことも考えられるのです。
このような悪化の一途をたどらないためにも、早めにガミースマイルの治療をおすすめします。
ガミースマイルの治療法
ガミースマイルを治すためには、どんな方法があるのか気になる方も多いはずです。
まずは検査や診断をおこない、症例の状態を確認しながら原因を突き止めたのちに治療法をご提案していきます。
いくつか治療法を紹介していきますので、参考にしてください。
①「歯並びを整える矯正治療」
歯並びの乱れから起きたガミースマイルの場合、矯正治療を主に進めていきます。
歯並びが原因でガミースマイルが併発している場合は、重度の凸凹であることが多い為、基本はワイヤー矯正で進めていきます。
また、治療方針によっては「アンカースクリュー」を用いていくことが考えられます。
アンカースクリューとは、生体親和性に優れたチタン製ネジを歯槽骨に埋入して固定源を確保した状態で、目的の歯を動かす治療法です。
ネジを身体のなかに入れることから怖いと感じるかもしれませんが、治療後は撤去しますし、跡も残りません。
そのため、安心して治療を受けることが可能です。
②「骨を切り取る外科手術」
骨格的に問題や異常があるケースは、外科手術をおこなうことが一般的です。
問題のある骨の一部を切り取り、正常な位置に移動してつないでいきます。
骨格を治したあとは矯正治療へ進んでいく場合が多いです。
③「歯肉切除で歯ぐきを整形」
歯ぐきの露出が多い場合は、歯肉切除をおこない歯ぐきの形を整える処置をします。
切除は電気メスやレーザーなどでおこなうため、比較的簡潔に終えることが可能です。
処置自体も1度で終えられますし費用も安価で腫れが少ない点がメリットですが、一方で後戻りしやすいというデメリットもあります。
ガミースマイルを完全に治したいという方は、歯冠長延長術(クラウンレングスニング)という治療がおすすめです。
こちらの治療では、歯肉切除と同時に歯槽骨の整形をしながらガミースマイルを治していきます。
後戻りの心配がないことから、半永久的な効果が期待できるでしょう。
④「注射による治療」
上唇挙上筋の発達によりガミースマイルが起きている場合は、筋弛緩作用のある製剤の注入をして筋肉のこわばりをほぐしていきます。
メスを入れる手術とは異なり、持続効果時間は約6か月程度です。
そのため、継続的に医院に足を運び施術を受ける必要があります。
カウンセリングで可能性を知ろう
今回はガミースマイルが遺伝するかについて述べましたが、骨格的な問題のほかに原因はさまざまあることが理解できたかと思います。
ガミースマイルは矯正治療単体で改善できることが稀であります。
多くの場合は、矯正治療+αで別のアプローチが必要となります。
もし、ガミースマイルが気になっているという方は、原因や状態を調べるためにも一度当院のカウンセリングを受けてみませんか?
正確な判断は精密検査をしなければわかりませんが、ガミースマイルの要因に歯列や嚙み合わせが関係しているのか、矯正治療で治る可能性があるのかの判断はカウンセリングの時点で可能です。
ほかにも歯列矯正についてお困りごとや不明点などがございましたら、遠慮なくお気軽にご相談ください。