投稿日:2023.5.27
インプラントが入っていても矯正できる?
皆さん、こんにちは、池袋駅前歯科・矯正歯科です。
「インプラントが入っていると矯正は難しい」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれません。
歯並びや噛み合わせを整えたいと思っている方の中には、すでにインプラント治療を受けている方もいるかもしれません。
「インプラントがあっても矯正治療は可能なのか?」「矯正を始める際にインプラントを取り外す必要があるのか?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
今回は、インプラントがある場合に矯正治療がどのように進められるのか、歯が動く仕組みとその際に気をつけるべきポイントについて、詳しく解説していきます。
目次
矯正治療で歯が動く仕組み
矯正治療で歯が動くためには、歯根膜(しこんまく)が必要です。
この歯根膜は、天然の歯の歯根と歯槽骨(しそうこつ)、いわゆる顎の骨をつなぐ線維のことを指します。
この歯根膜は、センサーのような役割を果たし、食べ物や噛む力による圧力を察知し脳へ伝達します。
また、クッションのように噛んだ時の衝撃を吸収してくれる役割も果たします。
矯正治療において、この歯根膜はなくてはならない存在です。
ワイヤーなどにより歯に矯正の圧力が加わると、この歯根膜が縮んだり伸びたりします。
この歯根膜が存在することで、矯正力がかかった部分の歯槽骨は「骨吸収」が起こり、歯が移動する方向に沿って少しずつ吸収されていきます。
一方、反対側では「骨形成」により新しい骨が再構築され、歯が新しい位置に安定します。
このように、本来歯が存在していた場所の骨が形成されたり、歯の移動先の骨が吸収されることを「リモデリング」といいます。
インプラントが入っていても矯正はできるの?
結論から言うと、インプラントが口の中にあっても矯正治療は可能です。
インプラントについてあまり馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんが、実は治療に用いるインプラントと矯正で使われるインプラント(アンカースクリュー)は、名前が似ているものの、役割や形状は全く異なります。
治療用のインプラントは、虫歯や歯周病、または事故などによって歯が失われた際に、人工の歯根として顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を装着する方法です。
このインプラントは、あごの骨としっかり結びつき、歯の代わりとして機能します。
一方、矯正治療で使われるインプラント(アンカースクリュー)は、チタン製の小さなネジ状の器具で、矯正中に歯を効率的に動かすための補助装置として使用されます。
このアンカースクリューは矯正期間だけ使用し、治療が終われば取り外します。
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インプラントの基本的な性質
インプラントは、「フィクスチャー(人工の根っこ部分)」「アバットメント(接合部)」「上部構造(歯の被せ部分)」の3つの構造から成ります。
チタン製の人工歯根を顎の骨に固定し、その上に人工の歯を被せて欠損部分を補う治療方法の一つがインプラントです。
また、インプラントと天然歯(元の歯)との大きな違いは、「歯根膜」があるかどうかです。
天然歯には歯根膜があり、これがクッションのような役割を果たしていますが、インプラントには歯根膜がありません。
そのため、インプラントは顎の骨に直接固定されており、矯正の力が加わっても動かすことができません。
こうした理由から、歯根膜が矯正治療において重要な役割を担っていることがご理解いただけるでしょう。
インプラントがある場合はどうやって矯正治療を進めるの?
「インプラントは動かすことができない」と聞くと、マイナスのイメージがありますが、悪いことばかりではありません。
インプラントがあるからといって、必ずしも矯正治療ができないわけではありませんし、抜去する必要もありません。
では、インプラントがある場合の矯正治療のメリットとデメリットはどんなものがあるのでしょうか。
メリット
インプラントは矯正力が加わっても動かない点をメリットと捉えて、固定源として利用することができます。
固定源があることで、特定の歯のみを動かすことが可能になったり、細かい調整ができる利点があります。
このように、インプラントを矯正治療をスムーズに進めるために利用することもあります。
さらには、インプラント周囲の歯並びを改善することで、見た目や噛み合わせが改善する点もメリットとして挙げられます。
歯のアーチが乱れていると、清掃が困難になり磨き残しをしてしまったりする場合があります。
磨き残しは細菌を繁殖させる原因となり、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。
インプラントは虫歯にこそなりませんが、歯周病には罹患します。
さらに、インプラントには歯根膜が存在しないため、歯周病菌に対する防御反応も天然歯と比較すると劣ります。
さらに、不適切な噛み合わせは歯に余分な力を加えてしまったり、顎の関節に負担がかかるリスクも持ち合わせています。
これも、歯周病の原因となりうるため、矯正治療で歯を並べることによって得られるメリットは長期的な安定を求める場合に非常に有効であることがわかります。
デメリット
先ほども説明した通り、インプラントは顎の骨に固定されているため矯正治療で動かすことができません。
そのため、歯を動かしたい方向にインプラントがある場合は、矯正治療が困難になります。
動かしたい導線にインプラントがない場合は問題なく動かすことが可能なため、歯の状態によって制限が生じます。
セラミックやブリッジなどの被せ物は影響はないの?
セラミックやブリッジが口腔内にある場合は、矯正装置であるブラケットやレジンがうまく接着できない場合があります。
その際、歯に圧力をかけると矯正装置が外れてしまうことがあります。
また、矯正装置を被せ物に装着することで、被せ物に傷がついてしまう恐れがあります。
そのため、当院では矯正治療を始める前に、被せ物を仮歯に置き換えた上で矯正治療をスタートしています。
矯正治療が完了した際には、仮歯に置き換えていた歯を再度ブリッジやセラミックで治療します。
このタイミングで型取りを行うため、きれいに整った歯並びや噛み合わせを考慮した被せ物を作成することが可能です。
詳しくはこちらのコラムもご参考ください。
まとめ
インプラントが入っていると矯正治療が難しいと思われがちですが、実際にはインプラントがあっても矯正は可能です。
インプラントは顎の骨にしっかりと固定されているため動かせませんが、その周りの天然歯を調整することで、全体の歯並びや噛み合わせを整えることができます。
矯正治療において重要なのが「歯根膜」の存在です。
歯根膜は天然歯に備わっており、歯を正しく移動させるために欠かせません。
一方、インプラントには歯根膜がないため、矯正の力を加えても動かすことはできませんが、逆にその特性を活かし、固定源として利用できます。
これにより、特定の歯を効率よく動かせるというメリットが生まれます。
矯正治療には、見た目や噛み合わせを改善し、歯並びを整えることでセルフケアがしやすくなり、虫歯や歯周病の予防に役立つという利点もあります。
また、噛み合わせが整うことで顎への負担も軽減され、健康を維持しやすくなります。
ただし、インプラントがあることで治療が制限される場合もあります。
特に、動かしたい方向にインプラントがある場合には治療が難しくなることがあります。
また、セラミックやブリッジの被せ物がある場合、矯正装置の装着に支障が出ることもあり、仮歯に置き換えた上で矯正治療を進め、矯正終了後に再度ブリッジやセラミックの治療を行います。
インプラントが入っていても矯正は可能ですが、状況に応じて治療方法は異なります。
自分の口の状態に合った治療を選ぶためにも、矯正専門の歯科医院でカウンセリングを受けることが重要です。
歯並びでお悩みの方はぜひ当院のカウンセリングでご相談くださいね。
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