投稿日:2025.11.19
矯正中の電動歯ブラシガイド:装置を傷つけない磨き方とおすすめの併用ケア
みなさん、こんにちは。
池袋キュア矯正歯科です。
ワイヤー矯正の歯磨きは装置が固定されている分、ブラシを歯面に当てることが難しく、磨き残しが多くなりやすいです。
そのため歯列矯正中の電動歯ブラシを検討している方も多いのではないでしょうか。
すでに使用している方もいると思いますが、矯正中の電動歯ブラシは回転するタイプの使用は装置が引っかかって外れる可能性があるのでおすすめしません。
矯正中でも使用が可能な電動歯ブラシと安全な使い方、おすすめの補助用具の説明をしていきます。

目次
結論と要点
歯列矯正中の電動歯ブラシの使用について、わかりやすくまとめました。
<使用可能な電動歯ブラシ>
回転しないタイプは原則OKですが、振動が強いと装置や歯茎を傷つける可能性があるので、振動数が調整可能な音波式や低振動式の電動歯ブラシがおすすめです。
<※回転式の注意※>
歯ブラシのヘッドがクルクルと高速回転する回転式の場合、歯垢除去力は強いですが、ブラケットやワイヤーに引っかかりやすく、脱離や変形のリスクがあるので推奨されていません。
<例外>
使用については装置や口腔内の状態により異なることもあるので、担当医の指示を優先しましょう。
ヘッドの強い押し当てや長時間の一転磨きは、装置への刺激が強いので気を付けて下さい。
<目的>
矯正装置の周囲は磨きにくく、虫歯・歯肉炎・ホワイトスポットのリスクが高くなります。
しかし電動歯ブラシの使用によって、溜まった歯垢や食べカスを効率よく除去して予防することに役立ちます。
電動歯ブラシの種類と相性
電動歯ブラシには以下の種類があり、矯正装置との相性も説明していきます。
1)回転式(円形・往復回転)
回転式の電動歯ブラシは清掃力はあるが装置へのダメージが大きく、引っかかって壊れる可能性があります。
装置周囲に過度の力が集中しやすいので、装置との相性は悪いです。
2)音波式・振動式
音波式振動式はヘッドが回転せず、左右に細かく振動するので、装置に引っかかるリスクが低いです。
小刻みな動きで汚れを効率よく除去できますが、振動数が高すぎる物や低い物よりも1万~3万回/分程度の振動がある製品がおすすめです。
3)ヘッド形状
毛がやわらかめで小さくてコンパクトなヘッドを選びましょう。
大きいヘッドは奥歯や装置周囲に届きにくく、磨き残しの原因になります。
ワンタフトヘッドはワイヤーの隙間や装置周囲など細部清掃に有効です。
◎マウスピース矯正(アライナー)の清掃方法

歯磨きはマウスピースを取り外してから通常通り行います。
マウスピースを装着すると歯に密着し唾液の循環がなくなるので、細菌が増殖しやすい環境になります。
そのため食事の度にしっかり歯磨きをし、清潔にする必要があります。
装置自体の清掃は食事の度に外して流水で軽く洗い流し、柔らかい歯ブラシで内側と外側を丁寧に磨きます。
歯磨き粉は研磨剤が含まれているため、マウスピースに傷が入る原因になるので使用を避けて下さい。
週に1~2回程度はマウスピース専用の洗浄剤を使用し、汚れやニオイの予防をしましょう。
◎固定式リテーナーの清掃方法

固定式リテーナーはワイヤー装置と同じように取り外しができないので、柔らかめのブラシで磨き、ワイヤー周りはフロスや歯間ブラシ等の補助清掃用具を併用して汚れを除去します。
歯の裏側に固定するので歯石になりやすいため、定期的にクリーニングを受けましょう。
イラスト出典元:歯科素材.com
安全に使うコツ(実践編)
▽当て方
✓歯ブラシの毛先を45度に向ける
✓ブラケット縁へ軽く当てる
✓一箇所に5秒程度当てながら次の歯面へスライドしていく
▽圧力
✓歯ブラシは鉛筆を持つように握る
✓力を入れすぎず、軽く当てる
✓力が入りすぎると警告する圧力センサーがあれば活用する
▽時間
✓2~3分を目安
✓毎食後が理想的
✓就寝前はより丁寧に磨く
▽毛の硬さ
✓「やわらかめ」を選択
✓毛先が開らく1~3ヵ月を目安に交換
▽洗口剤・フッ素
✓フッ素配合ペーストで再石灰化を促す
✓外出先やすぐに歯磨きできない状況でマウスウォッシュが役立つ
✓歯磨き後にマウスウォッシュを行うことも予防に繋がる
▽仕上げ
✓タフトブラシで装置の周囲の汚れを落とす
✓歯間部はフロスや歯間ブラシを使用する
▽NG例
✓回転式電動歯ブラシの使用
✓同一点へ長時間当てる
✓ゴシゴシ磨く
✓濡れたままの保管
▽順序
①ブラケットの上縁
②ブラケットの下縁
③ワイヤーの下
④臼歯バンド周囲
⑤舌側/口蓋側
⑥咬合面
電動歯ブラシは手用歯ブラシとは異なり、ゴシゴシ磨く必要がありません。
軽く歯面に当てながらスライドしていくように磨いて下さい。
補助清掃用具の併用
1)デンタルフロス

手用歯ブラシだけでは歯垢除去率が58%ですが、フロスの併用で86%まで向上します。
特にワイヤー装置があると歯間の清掃は難しくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
通常のフロスが通しにくい場合は歯科医院に相談し、スレッダー(糸通し)やスーパーフロスでワイヤーの下を通すやり方を教えてもらいましょう。
2)歯間ブラシ

歯と歯の間の汚れを取り除いたり、装置周囲の細かい所や狭い隙間を歯間ブラシで清掃します。
歯垢除去率は歯間ブラシの併用で95%にまでなります。
サイズ選びが重要で余裕があると歯垢除去率が下がってしまうので、痛みがない程度で少し窮屈さを感じるくらいが適切です。
初めは小さめから試してみましょう。
3)ワンタフトブラシ

ヘッドが1束の小さな歯ブラシなのでピンポイントで磨けます。
ブラケット、ゴム結紮部、臼歯バンド辺縁の仕上げが適しています。
就寝中は口腔内が乾燥して細菌が増殖しやすいので、できるだけ歯磨きで汚れを除去することがポイントです。
舌にも汚れは付着するので、たまに舌ブラシで優しく掃除をしてあげることや、就寝前にフッ素ジェルを塗布することで歯を強化し、虫歯リスクを低下させることも大切です。
装置が外れた/痛いときの対処
矯正治療中はトラブルがよく発生しますが、以下の対処法を参考にしてください。
▽外れた/曲がった時
無理に戻そうとせず、口腔内の粘膜に刺さるワイヤーは矯正用ワックスで保護し、速やかに医院に連絡してください。
▽痛み・出血がある場合
一時的な症状なら様子を見て、持続する場合や悪化する場合には医院に連絡をして受診します。
すぐに受診ができない場合は、矯正用ワックスで装置を保護したり、医師に相談の上、鎮痛剤を服用することも可能です。
※自己調整は厳禁
装置・ワイヤーの自己調整は装置の脱離や破損に繋がり、歯の動きにも関わってしまうため、自分で装置を調整することは絶対に避けるべきです。
マウスピース型矯正の際も、マウスピースの装着時間や交換の時期など自分で調整すると、計画通りに動かないので治療が長引いたり、進まない可能性があります。
歯科医師の指示は守り、トラブルや痛みが出た場合は必ず歯科医院に連絡しましょう。
お子様の矯正で気をつけたいこと

お子様の矯正は親子で協力して行うことが重要です。
以下のことに気を付けて、治療に取り組みましょう。
1)保護者の仕上げ磨き
装置があることや、生え変わり時期で歯の高さ凸凹で磨きにくいので、虫歯のリスクは高くなります。
お子様だけでは完璧に磨くことは難しいので、就寝前だけは保護者の方がフロスやタフトブラシを併用して丁寧に磨いてあげましょう。
2)ご家庭のルール化
フロスやタフトブラシなど、補助用具の使用は忘れてしまうことが多いです。
そのため「電動歯ブラシ→タフトブラシ→フロス」の順番で習慣化することで、毎日続けることができます。
3)学校・部活
家で歯磨きができない状況の場合、携帯用のタフトブラシや歯間ブラシ、マウスウォッシュを活用すると安心です。
よくある質問(FAQ)
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Q1:回転式でも弱いモードなら使えますか?
A:推奨しません。弱くても装置に引っかかるリスクは十分あるので、1~3万回/分程度小刻みに振動する音波振動歯ブラシがおすすめです。
Q2:音波式でも装置に当てて大丈夫?
A:軽い接触は可能ですが、強圧・一転磨きは装置の破損に繋がるので避ける方が安全です。
Q3:どのタイミングで磨くのが良い?
A:マウスピース型矯正の場合は毎食後、マウスピースを再装着する前に必ず磨く必要があり、ワイヤー矯正も毎食後磨くことをおすすめします。特に就寝前は細菌が増殖するのでより丁寧に磨いてください。
Q4:歯磨きペーストの量は?
A:少量(米粒~小豆大)で十分です。多いと泡立ちすぎて磨き残しが分かりにくくなり、種類によっては研磨剤の過剰な使用に繋がるので、たっぷりつける必要はないです。
Q5:マウスピース型矯正でも同じ?
A:マウスピースを外してから磨けば、同じ要領で使用して下さい、装置自体は柔らかめの歯ブラシで汚れを取り、週に1~2回は専用の洗浄剤を使用してケアをします。
まとめ
矯正中の電動歯ブラシは使用しても大丈夫ですが、ワイヤー矯正の場合、回転式だと装置に引っかかる可能性があるので推奨はしていません。
回転しない音波式や振動式だと効率よく綺麗に磨くことができるので、電動歯ブラシを検討している方は回転式を避けて下さい。
電動歯ブラシだけでは磨けない部分もあるので、特に就寝前は必ずフロスやタフトブラシ・歯間ブラシなど補助用具を用いるようにしましょう。
気になる症状・破損時は池袋キュア矯正歯科へご相談ください。
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