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投稿日:2025.9.3

矯正で歯はどこまで下がる?下がる量の目安と限界を解説

「口元が出ているのが気になる…」「前歯を後ろに下げたい」など、出っ歯や受け口、口ゴボといった歯並びにお悩みではありませんか?

出っ歯は上の前歯が前に突出している状態、受け口は下の前歯が前に突出している状態です。

上下の前歯が突出している歯並びを「口ゴボ」と呼びます。

口元が前に突出していると、口をうまく閉じられなかったり、口を閉じていても突出しているのがわかったりと、見た目のお悩みにつながりやすいとされています。

そのようなお悩みをお持ちの方にとって、「矯正治療でどこまで歯を後ろに下げられるか」は、知っておきたいことでしょう。

実際に、歯の移動量には限界があり、どれくらい後ろに下げられるかは患者様それぞれの骨や歯の状態によって異なります。

ここでは、矯正治療でどこまで歯を後ろに下げられるのかの目安や判断基準、注意点をわかりやすくご紹介します。

 

矯正治療で「歯を下げる」とはどういうこと?

出っ歯 上顎前突 ワイヤー矯正

矯正治療において、歯を下げるというのは、前に突出した歯を後ろに動かすことをさします。

 

前歯や口元を後ろに下げる「後方移動」

出っ歯(上顎前突)の歯並びを改善する場合には、上の前歯を後ろに下げて、上下の歯がしっかりとかみ合うように整えます。

出っ歯の治療では、

・ワイヤー矯正

・マウスピース型矯正装置を使った矯正治療

・外科矯正

といった方法が選択肢となるのが一般的です。

ワイヤー矯正治療では、歯の表面または裏側(舌側)に装置を取り付け、ワイヤーを通して歯に力を加えて、歯を後ろに下げます。

歯の裏側に装置を取り付ける「裏側矯正(舌側矯正)」では、奥歯を固定源として歯を引き込むため、奥歯が動きにくく、効率的に前歯を後ろに下げられるという特徴があり、出っ歯の治療に適しています。

また、裏側に取り付けることで、お口を開けたときに装置が目立ちにくく、治療中の見た目が気になる方にもおすすめです。

 

マウスピース型矯正装置を使う矯正治療では、透明のマウスピース型矯正装置をお口に装着して、歯全体に力を加えます。

マウスピース型矯正装置は、1日20時間以上装着する必要がありますが、装着していても目立ちにくく、周りの方に気付かれずに歯並びを整えることができます。

ただし、歯並びの程度によっては、マウスピース型矯正治療だけでは改善できないことがあり、ワイヤー矯正との併用が必要です。

また、ワイヤー矯正で改善が難しいほど重度の不正咬合の場合は、外科手術とワイヤー矯正を組み合わせて行う「外科矯正」をご提案することがあります。

 

歯列全体または部分の移動で調整する

矯正治療では、歯列全体を動かす「全体矯正」と気になる部分だけを動かす「部分矯正」があります。

前歯だけの移動で歯列が整う場合は、部分矯正で対応可能です。

部分矯正の場合は、部分的に矯正装置を取り付けます。

全体矯正と比べて、移動の対象となる歯の数が少ないため、治療にかかる費用や期間を抑えることが可能です。

ただし、全体的な矯正よりも、仕上がりが劣る場合があります。

また、全体のかみ合わせを調整することは難しいため、かみ合わせに問題がある場合は全体矯正が必要です。

全体矯正を行う際に、歯列を動かすだけのスペースがない場合は、抜歯を行ってスペースを作ってから歯を動かす場合があります。

複雑な歯並びの場合や、抜歯を回避したい場合は、アンカースクリューを使用することで効率的に歯を動かすことができる可能性があります。

アンカースクリューとは、顎の骨に直接埋入する小さなネジのようなものです。

一般的な矯正治療では、ほかの歯を固定源としますが、その場合、固定源となる歯も動いてしまう可能性があります。

アンカースクリューを固定源にすれば、固定源が動くことがないため、対象となる歯だけを効率的に動かすことができるのです。

 

歯が下がる量の目安とは?

矯正治療で歯を後ろに下げることはできますが、下げられる量には限りがあります。

また、歯並びや骨の状態によって、歯の移動量も異なります。

 

最大で5mm程度が限界とされる

一般的には、抜歯を行わない場合、矯正治療で後ろに下げることができる量は、最大で5mm程度が限界とされています。

これは、骨や歯ぐきの構造を考慮し、健康面での悪い影響が出ない値です。

 

理論上の移動量と実際の移動量には差がある

理論上は、5mmが限界とされていますが、実際の移動量は3mm~5mm程度という方が大半です。

なぜなら、歯の移動量は、歯や骨の状態など、個人差があるからです。

 

歯の移動量に影響する要素

歯の移動量は、歯や骨の状態で異なります。

具体的には、次のような要素によって、歯の移動量が決まります。

歯槽骨(歯を支える骨)の厚みと硬さ

歯槽骨が厚ければ厚いほど、歯を支える土台がしっかりしていて、安定した移動を行うことが可能です。

反対に、骨が薄く、歯を支える力が弱い場合、移動できる範囲が限られ、移動のスピードが遅くなる可能性があります。

また、骨が硬い方が、歯にかかる力を吸収しやすく、歯の移動が安定しやすいとされています。

やわらかい場合は、力が加わると変形してしまい、想定しているように歯が移動しない可能性があるため注意が必要です。

 

歯根の状態と傾き

歯根は複雑な形状をしていて、歯根の数もお一人おひとりで異なります。

一般的に、歯根が短く複雑な形状をしていない方が、歯が移動しやすく、歯根の数が多くて複雑なほど、歯の移動量が少なくなる傾向にあります。

例えば、歯根が長い犬歯や、歯根が多く複雑な形状をしている奥歯は、移動に時間がかかる傾向があるのです。

抜歯の有無・スペースの有無

抜歯をすれば、その分スペースを確保でき、歯を大きく動かすことができます。

反対に、抜歯をしない場合は、歯の移動量が限られることになります。

 

アンカースクリューの活用可否

小さなネジのようなものを顎の骨に埋め込み、歯を動かす際の固定源とすることで、ほかの歯を固定源とするよりも、大きく動かすことができます。

 

年齢や治療開始時の歯並びの状態

 

年齢を重ねるとともに歯根が発達するため、歯が動きにくくなることがあります。

 

歯を下げることで得られる変化

歯を下げることで、歯並びや口元にどのような変化があるのでしょうか。

横顔(Eライン)の改善

tooth Eline

Eラインとは、横顔の美しさの基準のひとつとなる、鼻の先端と顎の先端を結んだ線のことです。

一般的に、この線よりも内側に、唇がある状態が美しい横顔とされています。

矯正治療によって歯を後ろに下げることで、Eラインよりも外側にあった口元を内側におさめることができれば、横顔の印象がよくなる可能性があります。

 

唇の突出感が引っ込み、閉じやすくなる

歯が前に突出していると、必然的に唇も突出します。

歯並びによっては口をしっかり閉じることができない場合もありますが、矯正治療を行うことで、口を閉じやすくなり、見た目の印象も改善されるでしょう。

 

自然なスマイルラインと口元のバランスが整う

スマイルラインとは、笑ったときに上の歯の先端を結ぶラインのことです。

このラインが下唇のラインと一致してカーブしているのが美しいとされています。

上下の歯並びがアンバランスな場合や、口元全体が突出している場合は、スマイルラインが不自然になりがちです。

矯正治療によって上下の歯並びのバランスを整えたり、口元の突出を抑えることで、スマイルラインが整います。

 

歯を下げすぎると起こるリスクも

口を覆い隠す女

歯は後ろへ下げればいいというわけではありません。

後ろへ下げすぎると次のようなことになる可能性があるため、後ろへ下げる量には注意が必要です。

歯根吸収や歯肉退縮のリスク

矯正力が強すぎた場合に、歯の根っこの部分が溶かされて短くなる「歯根吸収」が起こることがあります。

歯根が短くなったことで歯ぐきが下がってしまったり、矯正治療で顎を拡大する際に許容範囲を超え、歯ぐきが下がって歯根が露出したりすることもあります。

咬合(かみ合わせ)不良

歯を過度に後ろへ下げすぎると、かみ合わせが悪化することもあります。

 

理想と現実のギャップに注意

見た目を優先して、歯を後ろへ下げることにこだわりすぎた結果、かみ合わせが悪い、歯がぐらぐらするといったことになっては、お口の健康を維持することが難しくなります。

最悪の場合、歯を失うことにもなってしまうため、矯正治療を専門にしている歯科医院で治療を行うことが大切です。

 

診断なしで「何mm下がるか」は断言できない理由

歯がどこまで後ろへ下がるかは個人差があるため、検査をしていない状態では、どれくらい下がるかをお伝えすることは困難です。

CTやセファロ分析が必要不可欠

歯科用CTでは、骨の状態を立体的に捉えることができます。

頭部全体を撮影するセファロでは、顔の骨格のバランスや歯の位置関係を把握することができます。

これらの検査を行うことで、顎の骨の現在の状態を的確に把握し、どのように歯並びが変わっていくかを予測することが可能となるのです。

治療計画は個々の口腔環境に応じて設計される

患者様から、具体的に「何mm後ろへ下げたい」とご相談されることもありますが、できるかどうかについては、カウンセリングと精密検査によって判断します。

歯並びの状態によっては、ご要望通りの移動量にならない可能性もありますが、お口全体を診て適切な治療計画をご提案し、ご納得いただけるようにわかりやすく説明しますので、どのようなことでもご質問ください。

 

まとめ

歯は矯正治療によって、最大5mm程度まで後ろへ下げられることがあります。

5mmというのは、あくまで目安です。

骨の厚みや歯根の状態などによって、移動量は異なります。

当院では、精密検査を行った上で歯を動かすことができるか、動かすとしたら何mmまで可能かといったことを具体的にお伝えします。

口元の突出が気になっており、歯を後ろへ下げたいとお考えの方はお気軽にご相談ください。

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