投稿日:2025.3.8
ワイヤー矯正で歯が動く仕組みとは?どうやって歯を動かすのか徹底解説!
「歯に金属の装置をつけるだけで、本当に歯並びって治るの?」
「ワイヤー矯正って、なんだか痛そうで、治療を受けるのが不安…」
矯正治療、特にワイヤー矯正に興味はあるけれど、その仕組みや効果について疑問や不安を抱えている方もいるのではないでしょうか?
歯は、一見すると、骨にしっかりと固定されているように見えますが、実際には、歯を支える骨や組織は、体の成長や外からの力に対して、柔軟に変化する性質を持っています。
ワイヤー矯正は、この歯の特性を活用し継続的に弱い力をかけることで、ゆっくりと時間をかけて歯を動かしていく治療法です。
今回は、ワイヤー矯正によって歯が動くメカニズムや、治療期間、そして治療中に起こる変化について、わかりやすく解説していきます。
目次 [hide]
ワイヤー矯正の基本原理
ワイヤー矯正では、「ブラケット」と呼ばれる小さな装置を歯の表面に接着し、そこに「ワイヤー」を通して歯を動かしていきます。
・ブラケット
ブラケットは、ワイヤーを歯に固定するための土台となる器具です。金属素材のもの、セラミック製の目立ちにくいものなど、様々な種類があります。
各歯に個別に装着され、ワイヤーからの力を正確に伝える役割を果たします。これにより、歯の動きをコントロールしながら細かく調整できるため、複雑な歯列にも対応が可能です。
・ワイヤー
ワイヤーは、歯を動かすための力を加える役割を担います。形状記憶合金という特殊な金属で作られており、歯並びが理想的な状態になるように設計されているのです。ワイヤーの元の形状に戻ろうとする力が、歯に加わることで、ゆっくり歯が移動していきます。
ブラケットに取り付けられることによって、調整された力を歯に伝える重要な部分です。しなやかでありながら強度のあるワイヤーが使用され、歯を少しずつ動かすための持続的な力を発揮します。
歯が動くメカニズム
歯は、歯槽骨と呼ばれる骨の中に埋まっており、「歯根膜」という繊維組織で支えられています。
ワイヤー矯正によってブラケットとワイヤーから歯に力が加わると、歯根膜が圧迫されたり、引っ張られたりします。すると、以下のような現象が起こるのです。
1. 骨吸収
圧迫された側の歯根膜では、「破骨細胞」という細胞が活性化し、骨が溶かされていきます(骨吸収)。
2. 骨形成
一方、引っ張られた側の歯根膜では、「骨芽細胞」という細胞が活性化し、新しい骨が作られていきます(骨形成)。
ワイヤー矯正では歯に一定の圧力がかかることで、圧力がかかった側の骨が吸収され、逆側では新しい骨が形成されます。この骨の再構築が、歯を理想の位置に移動させるメカニズムとなっています。
このように、骨吸収と骨形成を繰り返しながら、歯はゆっくりと移動し、新しい位置に安定していくのです。
治療期間はどれくらい? 歯が動くスピード
歯の動きには時間がかかります。このプロセスは一晩では起こりません。
通常、数ヶ月から2年以上の期間をかけて必要な位置に徐々に動かしていくのです。
一般的には、1ヶ月に1mm程度と言われています。
しかし、歯が動くスピードは、患者様の年齢、歯の根の長さや太さ、歯周組織の状態、そして歯を動かす力の強さなどによって個人差があります。
そのため、ワイヤー矯正の治療期間は、歯並びの乱れ具合や治療の目標によっても異なりますが、平均的には1年半から3年程度かかることが多いです。
ワイヤー矯正中に起こる変化
ワイヤー矯正中は、歯が動く際に、痛みや違和感を感じることがあります。
特に、ワイヤーの調整直後や、硬いものを噛んだ時などに、痛みを感じやすいです。
また、矯正装置が口内に接触することで、口内炎ができやすくなることもあります。
食事に関しては、硬いものや粘着性の高いものは、なるべく控えるようにしましょう。装置が外れたり、破損したりするのを防ぐためです。
定期的な装置の調整
ワイヤー矯正は、歯に力を加え続けながら、少しずつ歯を動かしていく治療です。そのため、定期的に歯科医院に通院し、歯の動きに合わせてワイヤーを調整したり、装置のメンテナンスを行ったりする必要があります。定期的な通院と調整は欠かせません。また、治療中に痛みや違和感を感じた場合は、我慢せずに、すぐに矯正歯科医に相談することが大切です。
あなたに合ったワイヤー矯正装置を選ぼう!
一口にワイヤー矯正と言っても、使用する装置の材質や方法によって、いくつかの種類があります。
ワイヤー矯正の種類には主に以下のようなものがあります。
1. メタルブラケット
装置のブラケット部分が金属でできており、昔から一般的に使用されているワイヤー矯正方法です。費用が比較的安価であることがメリットですが、装置が目立ちやすいというデメリットもあります。
※当院ではご用意がございません。
2. セラミックブラケット
ブラケットが歯の色に近いセラミックで作られているため、メタルブラケットよりも目立ちにくいという特徴があります。審美性に優れている一方、費用はメタルブラケットよりも高額になります。
3. 裏側矯正(舌側矯正)
歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着するため、矯正装置が外から全く見えません。人前に出ることが多い方や、接客業の方など、矯正装置が目立つことを気にされる方におすすめです。ただし、費用が高額になること、発音しづらい、舌に違和感を感じやすいといったデメリットもあります。
4. 歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正
顎の骨に一時的に小さなスクリュー(アンカースクリュー)を埋め込み、それを固定源として歯を動かしていく方法です。従来のワイヤー矯正では難しかった、歯を大きく移動させる必要がある場合や、歯を後方に移動させる必要がある場合などに有効です。
ワイヤー矯正のメリット・デメリット
ワイヤー矯正は、他の矯正治療と比較して、以下のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】
・高い矯正力
ワイヤー矯正は、他の矯正方法と比較して歯を動かす力が強いため、複雑な歯並びの改善や、歯を大きく移動させる必要がある場合にも対応できます。
・幅広い症例への対応力
軽度の歯並びの乱れから、重度の不正咬合まで、幅広い症例に対応することができます。
【デメリット】
・装置が目立ちやすい
メタルブラケットの場合、矯正装置が目立ちやすいという点が挙げられます。
・痛みや違和感
治療開始直後や、ワイヤーの調整後などには、歯が動く際に痛みや違和感を感じることがあります。
・食事制限
装置が外れたり、破損したりするのを防ぐため、硬いものや粘着性の高い食べ物は控える必要があります。
・口腔内ケア
装置が付いているため、歯磨きがしにくくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。丁寧なブラッシングや、定期的な歯科医院でのクリーニングが必要です。
まとめ
ワイヤー矯正は、歯並びを美しく整え、機能的かつ健康的な口腔環境を実現するための非常に有効な手段です。その背後には、ブラケットとワイヤーを使って持続的に力を加えることで歯を少しずつ動かし、骨の骨吸収と骨形成を通じて新たな歯列を形成するというプロセスが存在します。
治療期間は一般的に1年半から3年程度と、他の矯正治療と比較して長期間に及ぶ場合もあります。しかし、複雑な歯並びの改善や、歯を大きく移動させる必要がある場合にも対応できるなど、高い矯正力が期待できる方法になるのです。
治療中は、痛みや違和感、食事制限などの負担も少なくありませんが、目立ちにくい装置や、痛みが少ない治療法など、技術も進んでいます。歯が動く仕組みを理解し、ワイヤー矯正という選択を通して、自信に満ちた笑顔を手に入れましょう。
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