投稿日:2025.1.27
顎のずれがある歯並びは矯正できますか?
「顎がずれている気がする…」
「歯並びがずれていて口元が気になる…」
あなたはそんな悩みを抱えていませんか?
実は顎のずれと歯並びは密接に関係しており、放置すると見た目だけでなく、身体全体にも悪影響を及ぼします。顎のずれを伴う歯並びの不正は、そのままにすると噛み合わせが悪化し、肩こりや頭痛、顎関節症などを引き起こす可能性があるのです。
また、発音障害や食事がしづらいなどの問題も生じるケースもあります。さらに、口元にコンプレックスを抱え、自分に自信が持てなくなるなど、精神的な負担を感じる方も少なくありません。
この記事では、顎のずれがある歯並びを矯正する方法について、具体的にわかりやすく解説していきます。ご自身の症状に合った治療法を見つけるために、ぜひ最後までお読みください。
顎のずれと歯並びの関係
顎のずれは、医学的には「顎変形症(がくへんけいしょう)」と呼ばれ、上顎と下顎の位置関係に異常がある状態を指します。原因は遺伝的な要素や幼少期の指しゃぶりなどの癖、口呼吸などが考えられていますが、明確な原因が特定できないケースも多いです。
顎のずれがあると、歯が正しく噛み合わなくなるため、歯並びが乱れてしまうことがあります。反対に、歯並びの悪さが顎の成長や位置に影響を与え、顎のずれを引き起こすケースも少なくありません。このように、顎のずれと歯並びは密接に関係しており、どちらか一方だけが原因となるわけではないのです。
顎のずれがあると、噛み合わせが悪くなるだけでなく、以下のような問題が生じる可能性があります。
・顎関節症
顎の関節や周囲の筋肉に痛みや違和感、音が鳴るなどの症状が出る病気です。
・頭痛・肩こり
顎のずれにより頭や首の筋肉が緊張し、頭痛や肩こりを引き起こすことがあります。
・姿勢が悪くなる
顎のずれを補正しようとして、無意識に姿勢が悪くなることがあります。
・発音障害
舌や唇の動きが制限されることで、発音が不明瞭になることがあります。
・食事がしづらい
食べ物を噛み砕きにくくなるため、食事に時間がかかったり、消化不良を起こしやすくなったりします。
顎のずれがある歯並びの治療法
顎のずれを伴う歯並びの治療法は、大きく分けて「矯正治療のみ」と「外科手術を併用した矯正治療」の2つがあります。どちらの方法が適しているかは、顎のずれの程度や年齢、歯並びの状態、そして患者様の希望などを総合的に判断して決定されます。
1. 矯正治療のみ(カモフラージュ治療)
軽度の顎のずれの場合や、外科手術を希望されない場合に選択されることがあります。歯の位置を矯正することで、噛み合わせや見た目を改善する方法です。
【矯正治療のみで可能なこと】
- 歯並びの改善
- 噛み合わせの改善
- ある程度の見た目の改善
◎ 矯正治療のみのメリット
- 外科手術が必要ない
- 身体への負担が少ない
- 治療費が比較的安価
✕ 矯正治療のみのデメリット
- 顎のずれ自体は改善されない
- 症状によっては効果が限定的
- 後戻りしてしまう可能性もある
- 顎関節症などの根本的な解決にならない場合がある
矯正治療のみでは、根本的な顎のずれ自体は改善されず、あくまで「カモフラージュ治療」であることを理解しておきましょう。
2. 外科手術を併用した矯正治療
顎のずれが大きい場合や、矯正治療のみでは十分な効果が期待できない場合に選択される治療法です。外科手術によって顎の位置や大きさを調整し、その後、矯正治療によって歯並びを整えていきます。
【外科手術を伴う矯正治療の流れ】
外科手術を伴う矯正治療には、大学病院で行う「保険適用」のものと、矯正歯科で行う自費の「サージェリーファースト」があります。
当院では後者の「サージェリーファースト」をご用意しております。
【保険適用の場合】
- 診断・検査
レントゲン撮影や歯型採取などを行い、顎のずれや歯並びの状態を詳しく検査します。
- 治療計画
検査結果に基づいて、患者様一人ひとりに合った治療計画を立てます。
- 術前矯正
手術で顎の骨を移動しやすい状態にするため、歯並びをある程度整えます。期間は数ヶ月〜数年と、症状によって大きく異なります。
- 顎矯正手術
全身麻酔下で行われ、入院が必要となります。上顎と下顎のどちらを手術するかは、顎のずれ方によって異なります。手術時間は症状によって異なりますが、3~4時間程度が一般的です。
- 術後矯正
手術で顎の位置を整えた後、噛み合わせと歯並びを最終的に調整します。
- 定期健診
治療後も、歯並びや噛み合わせの状態を定期的にチェックします。
=トータル矯正期間 5年程度
【サージェリーファーストの場合】
- 診断・検査
レントゲン撮影や歯型採取などを行い、顎のずれや歯並びの状態を詳しく検査します。 - 治療計画
検査結果に基づいて、患者様一人ひとりに合った治療計画を立てます。 - 顎矯正手術
全身麻酔下で行われ、入院が必要となります。上顎と下顎のどちらを手術するかは、顎のずれ方によって異なります。手術時間は症状によって異なりますが、3~4時間程度が一般的です。 - 歯列矯正
手術で顎の位置を整えた後、噛み合わせと歯並びを最終的に調整します。 - 定期健診
治療後も、歯並びや噛み合わせの状態を定期的にチェックします。
=トータル矯正期間 3年程度
◎ 外科手術を伴う矯正治療のメリット
- 顎のずれを根本的に改善できる
- 噛み合わせが大幅に改善される
- 顔貌のバランスが整い、見た目が大きく改善される
- 顎関節症の予防・改善効果も期待できる
✕ 外科手術を伴う矯正治療のデメリット
- 全身麻酔による手術が必要となる
- 入院期間が必要となる
- 治療費が高額になる場合がある
- 治療期間が長くなる傾向がある
あなたに最適な治療法は?
顎のずれを伴う歯並びの治療は、患者様一人ひとりの症状や希望に合わせたオーダーメイド治療となります。自己判断で治療法を決めず、まずは矯正歯科を受診し、専門医に相談することが重要です。矯正歯科では、レントゲン撮影や歯型採取などを行い、精密な検査に基づいて最適な治療法を提案してくれます。治療期間や費用についても詳しく説明を受け、納得した上で治療を開始しましょう。
矯正治療を受ける前に知っておきたいこと
顎のずれを伴う歯並びの矯正治療は、時間と費用がかかる治療となります。治療を始める前に、以下の点をしっかり理解しておくことが大切です。
1. 治療期間
矯正治療のみの場合、数ヶ月〜数年程度かかることが一般的です。外科手術を併用する場合は、さらに1〜2年程度かかることもあります。治療期間は、顎のずれや歯並びの状態、年齢などによって個人差が大きいです。
2. 費用
矯正治療の費用は、治療方法や期間、使用する装置などによって大きく異なります。保険適用外となる場合が多く、高額になる場合もあるため、事前に費用の目安を確認しておきましょう。
- 矯正治療のみ: 数十万円〜100万円程度
- 外科手術を併用する矯正治療: 100万円〜300万円程度
※医療費控除の対象となる場合があるので、確定申告の際には医療機関から発行される医療費控除に関する証明書を忘れずに保管しておきましょう。
3. 治療中の注意点
矯正治療中は、装置の装着による違和感や痛み、発音しづらさなどを感じる場合があります。また、食事や歯磨きにも注意が必要となり、普段通りの生活が送りづらくなることもあります。治療前に歯科医師からしっかりと説明を受け、不安な点は解消しておきましょう。
4. 後戻り
矯正治療後も、歯は元の位置に戻ろうとする性質があります。これを「後戻り」といい、後戻りを防ぐためには、保定装置(リテーナー)を一定期間装着する必要があります。保定期間は、治療期間と同じくらい、もしくはそれ以上かかる場合もあるため、医師の指示に従ってしっかりと装着することが大切です。
まとめ
顎のずれを伴う歯並びの治療は、矯正治療のみの場合と、口腔外科での外科手術を併用する場合があります。どちらの治療法が最適かは、顎のずれの程度や年齢、歯並びの状態、そして患者様の希望などを総合的に判断する必要があるのです。
顎のずれや歯並びが気になる方は、自己判断せず、まずは矯正歯科を受診し専門医に相談することが重要となってきます。治療のメリットだけでなく、デメリットやリスク、費用についても十分に理解した上で、治療を開始することが大切です。 顎のずれと歯並びの悩みを解決し、自信に満ちた笑顔を手に入れましょう。