投稿日:2025.3.1
嚙み合わせが深い「過蓋咬合」の原因と治し方
「噛み合わせが深いのが悩み…」
「過蓋咬合はどうやって治すの?」
噛み合わせが深いことで知られる過蓋咬合で、上記のように悩んでいませんか?
過蓋咬合は見た目だけでなく、歯や顎の健康にも影響を及ぼすため、放置するとさまざまなトラブルにつながるケースがあります。
そこで今回は、過蓋咬合が起こる原因や放置することで起こりうるリスク、治療法の種類を詳しく解説します。
噛み合わせに違和感を覚えている方や矯正を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
過蓋咬合とは?
過蓋咬合(かがいこうごう)は、咬み合わせが深く、下の歯がほとんど見えない状態の歯並びです。
歯や顎に大きな負担をかけて、放置するとさまざまな問題を引き起こします。
奥歯への負担が大きいため、年齢を重ねると歯を失う可能性が高くなります。
過蓋咬合は見た目では気づきにくいことが多いので、早めに歯科医師に診てもらうことが大切です。
早めに治療を始めれば悪化を防ぎ、噛み合わせや健康を守ることにつながります。
過蓋咬合の原因
過蓋咬合は、生まれつきの骨格の影響だけでなく、成長の過程や歯ぎしりなど歯の使い方によっても引き起こされることがあります。
上顎と下顎の成長バランスの乱れや、歯の摩耗などが原因となることも少なくありません。
ここからはどのような要因が関係しているのか、一つずつ詳しく見ていきましょう。
遺伝で骨格に問題が起きている
上顎が下顎より前に出ていたり下顎が小さいと、過蓋咬合になりやすくなります。
これは生まれつきの骨格が関係していることがあり、遺伝によって起こる可能性もあります。
つまり、両親のどちらかが過蓋咬合だと、子どもも同じような噛み合わせになることがあるのです。
上顎が成長しすぎている
上顎が下顎よりも大きく成長すると、上下の前歯部が正常に噛み合わず、噛み合わせが深くなってしまいます。
前歯同士がしっかり噛み合わないと、上の前歯がさらに伸びてしまい、状態が悪化することもあります。
これは遺伝による影響だけでなく、日常のクセが原因になることもあるのです。
例えば、指しゃぶりや舌で前歯を押すクセがあると、上顎の成長が促されてしまうため注意が必要です。
下顎がしっかり成長できていない
下顎の成長がしっかりできていないと、上下の前歯部が正常に噛み合わず、過蓋咬合になるケースがあります。
上顎が成長しすぎる場合と同じように、遺伝や日常のクセが関係していることがあるため、注意が必要です。
また、アレルギーやアデノイド(咽頭扁桃の腫れ)によって口呼吸が続くと、下顎の成長が十分に進まず、過蓋咬合の原因になることもあります。
奥歯がすり減っている
歯ぎしりや食いしばりが習慣になっていると、奥歯がすり減ってしまいます。
奥歯の位置が低くなると、噛み合わせが深くなり、過蓋咬合の原因になります。
また、虫歯やけがなどで早い時期に奥歯の乳歯を早く失うと、奥歯の位置が低くなりやすく、その結果過蓋咬合につながることもあるのです。
過蓋咬合を治さないとどうなる?
過蓋咬合を放置すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、長期的には健康に深刻な影響を与えることもあります。
ここでは、過蓋咬合を治さない場合に起こり得る問題を紹介します。
歯がすり減る
噛み合わせが深くなると噛むときに上下の奥歯が強く当たってしまい、放置すると奥歯がすり減ることがあります。
また、奥歯に銀歯やブリッジなどの被せ物がある場合、被せ物が欠けたり外れたりする恐れもあるため、注意が必要です。
さらに歯がすり減ることで虫歯ができやすくなったり、知覚過敏が起きたりすることもあります。
上の裏側の歯ぐきを傷つける
噛み合わせによっては、下の前歯が上の前歯の裏側の歯ぐきに当たり、歯ぐきが傷つくことで腫れや炎症を引き起こすことがあります。
炎症が進むと細菌感染が起こりやすくなり、歯周病になりやすくなります。
さらに、炎症が歯を支える骨にまで広がると、重い歯周病になることもあるため注意が必要です。
しっかり噛めなくなる
噛み合わせが深いと、前歯で食べ物をしっかり噛むことができません。
前歯で噛めないと、食べ物をしっかり噛まずに飲み込んでしまい、胃や腸に負担がかかります。
発音に影響が出る
下顎の動きが制限されるため、発音にも影響が出ることがあります。
うまく発音できないと、他の人とコミュニケーションが取りにくくなったり、人前で話すのが嫌になったりすることもあるでしょう。
口を閉じにくくなる
過蓋咬合があると、口をしっかり閉じるのが難しくなるため、口の中が乾燥し細菌が増えやすくなります。
その結果、虫歯や歯周病にかかりやすくなったり、口臭が強くなったりするのです。
また、過蓋咬合の人は口呼吸になりやすく、口呼吸を続けると過蓋咬合がさらに悪化してしまうこともあります。
顎関節症のリスクが高くなる
過蓋咬合では奥歯が強く接触するため、下顎をうまく動かすのが難しくなります。
動かすのが難しくなると顎に負担がかかり、顎関節症になりやすくなります。
さらに、顎の不調は肩や首のこりなど、体全体の不調を引き起こすこともあります。
咬み合わせの問題は、口だけでなく体全体に影響を与えることがあるのです。
過蓋咬合を治す方法
過蓋咬合の治療にはいくつかの方法があり、どの治療法にするかは症状の程度や個々の状況により異なります。
そのため治療を進めるにあたり、歯科医師との十分な相談と診断が必要です。
ここからは、一般的な治療方法について詳しく説明します。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、ブラケットという装置を歯に取り付け、そこにワイヤーを通して歯を動かしていく矯正方法です。
効率的に過蓋咬合の歯を下げるためには、アンカースクリューという装置で歯を固定することがあります。
また、歯を前に出すためには、顎間ゴムという輪ゴムのようなものを使うこともあります。
ワイヤー矯正は装置が自身で着脱できない固定式のため、歯磨きや食事がしにくいなどのデメリットを考慮しておく必要があるでしょう。
マウスピース型矯正
マウスピース型矯正は、透明な装置を使って歯を動かす方法です。
この治療法は歯を傾けて動かすのが得意で、過蓋咬合の場合上の前歯を内側に傾けて奥歯を引き込むことで、噛み合わせを改善できます。
治療の効果を高めるために、歯の表面にアタッチメントを付けることもあるでしょう。
もし「マウスピース型矯正で治療が難しい」と判断された場合、他の矯正治療と組み合わせて行うこともあります。
外科矯正を行うケースもある
顎の骨格が過蓋咬合の原因の場合、外科矯正が必要になることがあります。
外科矯正は手術で上顎や下顎の骨を適切な位置に調整し、その後矯正装置で歯並びを整える方法です。
外科矯正には全身麻酔を伴う手術が必要で、治療期間は手術準備期間を含むため長期間かかることがあります。
骨格に問題がある場合、この方法は根本的な改善が期待できるため、骨格の問題が大きい方にとっては有効な治療法です。
挙上板
重度の過蓋咬合は、矯正治療単体では治りきらなかったり、かなり長期的になる可能性があります。
そういったケースの場合は挙上板(きょじょうばん)という、上顎前歯の裏側に透明のプレートがついたマウスピースを用いてある程度嚙み合わせ改善を事前に行い、矯正治療を始めるという方法があります。
過蓋咬合の原因と治し方でよくある質問
ここからは以下の項目に分けて、過蓋咬合の原因と治し方でよくある質問にお答えしていきます。
- 過蓋咬合を自分で治すことはできる?
- 過蓋咬合の矯正は何年かかりますか?
過蓋咬合を自分で治すことはできる?
過蓋咬合は自分で治すことは難しいです。
無理に歯を押したり力を加えると、歯や顎に負担がかかるので避けるべきです。
治療は専門的な方法が必要なため、歯科医院に相談して矯正治療を受けましょう。
過蓋咬合の矯正は何年かかりますか?
過蓋咬合の治療期間は、通常2~3年程度です。
ただし治療方法や症状の重症度、歯並びの状態によって期間は異なるため、個別に調整が必要です。
過蓋咬合でお悩みの方は当院へご相談ください
過蓋咬合は、歯や顎に負担をかける深い噛み合わせの状態で、放置すると歯のすり減りや顎関節症などの問題を引き起こす可能性があります。
原因は遺伝や成長過程、日常のクセによって引き起こされることがあり、早期の治療が重要です。
治療方法にはワイヤー矯正・マウスピース型矯正・外科矯正があり、症状や状況に応じて選択されます。
治療には通常2~3年程度かかることが多いですが、早期に適切な治療を受けることが大切です。
当院では、一人ひとりの症状に合わせたオーダーメイドの治療プランをご提案いたします。
過蓋咬合で気になるお悩みや症状がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。